国際残留基準値

農薬散布の結果、微量の残留量が果物、野菜、穀物などの収穫農産物や、フルーツジュース、植物油、小麦粉など加工産物に検出されることがあります。そのため政府規制当局は、安全使用基準(GAP)の順守の確認と国際貿易促進のために、残留基準値(MRL)または残留許容量を設定しています。MRLは食糧、農産物もしくは動物飼料中に、Codexまたは各国規制当局によって法的に許容されている、もしくは許容範囲とされている最大の農薬残留濃度として定められています。アメリカなどいくつかの国々では、MRLは「許容量(tolerance)」という言葉で表現されており、一般的に両方とも同じ意味で用いられています。

農薬の使用は、食糧生産における作物保護の恩恵が明らかである反面、食物への残留は人間の健康へ悪影響があるか否かに関する論議が絶えずあります。農薬としての登録・認可を受けるにあたっては、健康影響の可能性についての科学的なリスク評価を始め、厳密に法律で定められた安全性評価過程を通らなければなりません。

MRLは安全の限界ではありませんし、またMRL以上の残留量に暴露したとしても、それは自動的に健康に有害であることを示唆しているわけではありません。農薬のMRLは、安全使用基準の原則に従って散布された作物中の残留量を用い科学的根拠に基づいて設定されています。このためMRLは、作物ごと、生育条件、散布回数、その他の要因によっても異なります。MRLは国ごとに異なる場合もあれば、国際貿易障壁を考慮して同一に定められることもあります。MRLは毒性データを基に設定するものではありませんが毒性データによって評価された安全性が担保されたものでなくてはなりません。GAPに従った使用基準で実施した残留試験の結果、代謝・毒性試験のデータを用いてMRLは設定されます。これらすべてのデータを用いて、通常MRLは予測しうる最大量が残留すると推定した最悪の事態を想定して定められます。